インタビュー

CACカップは生徒たちをヒーローにしてくれる大会

奥田 邦晴 OKUDA KUNIHARU
大阪府立大学 学長補佐・総合リハビリテーション学研究科長

大阪市出身、理学療法士。大阪府立大教授として障がい者スポーツ指導論を教えるかたわら2012年より一般社団法人日本ボッチャ協会代表理事を務め(現在は退任)ボッチャの普及と選手層の拡大・強化に尽力する。

CACカップは生徒たちをヒーローにしてくれる大会

CACカップは特別支援学校の生徒さんだけでなく、先生やご家族も含めボッチャの啓発や意識高揚、また将来の代表選手の発掘・育成にひと役かっている大会だと思います。

かつてボッチャは、今では想像できないほどにマイナーなスポーツでした。様々な大会で良い成績をとっても、新聞に掲載されるのはスポーツ面ではなく社会面。世間のイメージだとスポーツではなく障がい者向けのレクリエーションやリハビリテーションだったのかもしれません。

私自身、30年近くボッチャと関わってきましたが、なかなか目を向けてもらえない状態が続いていましたので、そのような折にCAC Holdings様より「ボッチャ協会を支援したい」と声をかけていただいた時は本当に嬉しかったのをよく覚えています。

CAC様のボッチャへの関わり方が素晴らしいと感じるのは、ボッチャ協会や行政の主導ではなく、自発的に大会を主催し、社員様が一丸となってボッチャを盛り上げてくださっているところです。

スポンサーとしてスポーツに協賛してくださる企業はたくさんありますが、CAC様の場合は大会自体を自分たちの手で企画から運営まで行っている。このようなケースはほとんどないと思います。

そしてCACカップが他の大会と異なり、感心してやまないのは「生徒たちをヒーローにする」演出です。

選手が入場する時の照明や音楽、自分たちの試合の様子が巨大スクリーンに映し出されることなど、生徒たちが味わったことのないような機会を与えてくれます。

また、表彰式も盛大に行って頂くことで勝ち負けの意識が生まれ、選手たちの競技力は年々上がってきていると思います。

回を重ねるごとにとても注目度が高い大会になってきているので、CACカップを目標にする生徒が増えています。

ボッチャを通して、誰もが共生できる社会を目指したい

近年SDGsがよく聞かれるようになりましたが多世代参加型の社会を共創していくうえでボッチャはとても適しています。例えば、障がい者のイベントを行った場合、どうしても健常者が参加できる部分であったり、共感・共有できるものが限られてしまいます。

また、多くの障がい者スポーツでは、ルールにハンデを設けないと成立しませんが、ボッチャではハンデがなくても障がい選手が健常者に勝つケースは多く、これが普通になっています。ハンデがなくても、年齢や性別や障がいの有無が関係なく、皆んなが同じ舞台で一緒に盛り上がれることの意味は大きいです。これからは一層、ボッチャを通して普通学校の生徒と特別支援学校の生徒たちが接する機会が増えれば良いと思います。

さらに、本学のボッチャ部では近隣の小学校の待機児童を対象にボッチャを教えに行ってくれていますが、これは、小学校の頃からそのような体験を持つことで、障がい者を見る目や接し方が変わるだろうし、その子供たちが大学生になった頃には、きっと今の自分たちよりも成熟した考えをもつ大人になっているのではないかという、学生たちの想いがこもった活動です。ボッチャには社会を変える力があると思います。

CACグループのこれからにも期待しています

一つの企業が主催する障がい者スポーツの大会は非常に少ないと思います。私の理想としてはCACカップをモデルケースとして、多くの企業が連携する大会が生まれていけば、さらに全国の隅々まで広がってくれるのかなと思っています。

そしてCAC様が障がい者スポーツ支援をスタートさせて産まれたもの、そしてこれらの多くの変化や社会に与えるポジティブな影響や効果をパイオニア企業としてどんどん発信していっていただきたいです。

厚かましいお願いですが、CACカップはもちろんのこと、これからのCACグループ様のより一層のボッチャ活動の展開とご支援を期待しております。そして、何よりも、株式会社CAC Holdings様のますますのご発展とご躍進をお祈り申し上げております。

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