インタビュー

【私の想像をはるかに超えた大会になった】 株式会社CAC Holdings 代表取締役会長 酒匂 明彦 氏

 

障害者スポーツ支援を始めたきっかけを教えてください。

当社は以前、縁があって日本障害者スキー連盟への資金援助を行っていましたが、創業50周年を機に新たな社会貢献事業を始めたいと思ったとき、ある社員からボッチャというスポーツを教えて貰いました。
当時はまだ無名に近いスポーツだったので私もボッチャのことは知らず、練習会や日本選手権大会を見学に行きました。その会場で、例えば大会受付など、私たちがお手伝いできることがまだまだ沢山あることが分かりましたし、私たちが競技者としてボッチャそのものを楽しめることも分かりました。この競技なら当社の社員が手を動かしながら直接普及にかかわることができるのではないかと思いました。その後、ボッチャ自体が選手やそのご家族への精神的支柱(生きがい)になっている状況を垣間見て、なにより普及に努めたいという使命感のようなものを感じましたね。

ご存知の通り、ボッチャは障害者の為に考案されたスポーツで、その支援となると、何か特別な知識や技能が必要ではないかと考えてしまうかもしれませんが、私は学生時代から障害のある方と接する機会があり、同世代の障害者の方と気負う事なく一緒に行動していたので、障害者スポーツ・ボッチャの支援が高いハードルではなかったと今になって思います。

 

CACカップを企画した経緯を教えてください。

ボッチャの支援を始めたことによって日本選手権を見学したり、その他の様々なイベントに参加したりするなかで、学生プレイヤーの活躍の場が極めて限られていることを知りました。
ボッチャはボールとコート、仲間がいれば簡単に出来ますが、私は真剣勝負の場を子供達に提供したいと思ったのです。緊張感のある大会に参加することで技術の底上げに貢献できればと。
ボッチャを支援すると決めたときから、会社の名前が入った大会を開催することは夢でしたし、その大会を社員の自主的な参加で運営ができれば、弊社にとっても大きな価値のある大会になるのではないかと思いました。

 

実際に大会を開催してみていかがでしたか?

回を重ねるごとに大会のクオリティーは上がってきていますね。入場行進ひとつとっても、プラカードを持っての入場から始まったものが、今ではスポットライトやスモークを焚いての入場になっています。毎回社員たちが安全で選手たちが楽しめるにはどうしたらいいかということを考えてやっているんです。毎回私も楽しみにしています。
何より選手たちの表情がどんどん良くなっているし、応援している親御さんや先生たちの熱量も変わってきていると思います。
選手達がボッチャを真剣に練習してきていることも分かるし、親御さんたちの応援も盛大になっています。来てくれる方のそういった想いに応えられるよう、運営側の社員もイベントや演出で大会を盛り上げる。
相互の想いが重なりあって、今では私の想像をはるかに超えた大会になっていると思います。

 

CACカップを通してどんなことを子供たちに経験してほしいですか?

真剣勝負のなかで楽しかったこと、嬉しかったこと、悔しかったことを感じてもらえれば良いかなと思います。
涙を流すくらい嬉しい・悔しいとか、そんな機会はなかなか無いと思うんですよね。
あとは、みんなも分かっていることだと思いますが、開催には多くの方々の応援・支援があって成り立っていること、先生や親御さんのご苦労に支えられていることに思いを馳せていただければ嬉しいです。
そして、ゆくゆくは運営側に回る生徒も出てくると思うんですよ、色々な障害者スポーツの普及とか支援する側にね。選手として様々な経験をすることでどんどん能動的になってくれると良いですよね。

 

今後のCACカップ、ボッチャ普及についての抱負をお聞かせください。

普及活動は、これをやったら終わりというものはありません。コロナ禍で開催中止とはなったものの、この先、CACカップは東京開催にとどまらず、今後は様々な場所で地方大会を行なっていきたいと思っています。活動方針を変えることはなく、ともかく活動が途絶えないように続けて行くことが大切だと思っています。
ボッチャがさらに普及すれば、支援企業も増え、今後どこかの支援企業が大会を開催する折りには、当社が経験で培ったノウハウを提供するなど、支援の輪を広げたいですね。

色々お話ししましたが、根本には、障害者の方がボッチャをすることで能動的に考えたり動こうとしたりする意欲の源になって欲しい、そしてこのような経験をする人をどんどん増やしていきたい。これが最初から一貫して変わらない私の想いです。

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